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祝☆Blu-ray+DVD発売!『アメリカン・スリープオーバー』小川あんさんトーク採録

『アメリカン・スリープオーバー』Blu-ray+DVD(2枚組)発売を記念して、今年アップリンク渋谷さんで行われた俳優小川あんさんのトークショー採録を掲載致します(小川あんさんは9/6に『キングス・オブ・サマー』でもトークショーがございます)!

なお、『アメリカン・スリープオーバー』Blu-ray+DVDは現在、Amazonさん中野・タコシェさん下北沢トリウッドさんでお取り扱いいただいております。

また、京都の恵文社一乗寺店さんでは『アメリカン・スリープオーバー』Blu-ray+DVD発売を記念した上映会イベントでBlu-ray+DVDも販売致します。

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おしゃれ映画?

降矢:この度は、『アメリカン・スリープオーバー』の上映にお越しいただき、ありがとうございます。配給をしておりますグッチーズ・フリースクールと申します。
今日は、『アメリカン・スリープオーバー』の魅力を小川さんとご一緒に探っていけたらと思っております。で、『アメリカン・スリープオーバー』って言ってしまえば、一夜、好きな子を追いかける。そしてそれが追いついたからといってどうなるわけでもない、というような非常に地味とも言える映画だとは思うのですけど、こうして長いあいだ、みなさんに受け入れられているっていうのがとても興味深いな、と思っています。

小川あん(以下、小川):この映画って大人の人が見ても良いなって思える映画ですよね。おしゃれっていうんですかね……なんだろう?

降矢:おしゃれという言葉で、以前ライムスターの宇多丸さんに「この映画は結構おしゃれだから、やり方によってはいけるぞ、頑張れ!笑」って言われたことを思い出しました。

小川:でもおしゃれ映画なんですかね?

樋口:そう言われると、いわゆるおしゃれな女の子をターゲットにしたおしゃれ映画とはちょっと違いますよね。

小川:違いますよね。美術から何から全部がナチュラルで、お話も予測不可能で、このデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『イット・フォローズ』もホラー映画なんですけど、おしゃれなんですよね。

降矢:画面の作りなども似たようなものを感じますよね。

樋口:いわゆるドーンって脅かす、というようなタイプのホラーでは全くない。

小川:そうですよね。なんか面白い監督だなって思いました。次の作品もまた見たくなる。

降矢:次の作品もサスペンス映画のようですね。『アメリカン・スリープオーバー』もサスペンス的な気配というか、死の香りとまで言ってしまうと言い過ぎかと思いますが、不穏な空気は映画の底に流れているような感じではありますよね。

樋口:そういう青春映画のキラキラだけでは成り立っていないような危うさというのはありますよね。例えば登場人物も男性とかってやっぱりちょっと“変態”じゃないですか。

会場:笑

降矢:あのお兄ちゃん(スコット役)、大分“変態”でしょう。

小川:あー “変態”だった、なんか笑

会場:爆笑

小川:でもいかにもっていう感じではなくて、無言の“変態”というか。

降矢・樋口:一番ヤバいタイプ笑

樋口:少年(ロブ役)とかもね、ナチュラルに風呂を覗きますし。

降矢:「大変なことしてるのよ」なんて言われたりしてね笑

樋口:だからそういう、いわゆるおしゃれ映画とはやっていることは違うはずなんだけど、あの夜の感じとかに紛れているのか、そんなに過剰な感じにも見えない不思議な感覚ですよね。

降矢:それぞれの登場人物が色んな可能性を秘めながら、ただそれが派手な何事かに繋がるのではなくて、可能性のまま静かに終わるっていうのもありますよね。

 

■ 役者から見る『アメリカン・スリープオーバー』

樋口:あとやっぱり役者さんをお呼びしての機会なので、そういうお話もと思うんですけど、この映画はいわゆるほとんどの登場人物がプロの役者さんではないんですよね。実際、同年代で役者として活躍されている小川さんとしては、演技などの観点からどのように思われましたか?

小川:メインの女の子二人(マギー&ベス)がすごくチグハグでよかったんですよね。しゃべり方とかもネチネチしていて、はっきりとしていない感じが、「ああ、こういう人いるよね」っていう。映画のヒロインというよりはドキュメンタリーを見ているというような感じで、すごい共感出来ましたね。綺麗でスタイルが良くて顔も可愛い子を選ぶっていうよりも、この二人をキャスティングされているというのが、この映画の魅力だなあと思いました。登場人物がみなコンプレックスを持っていそうで、そういうところが見えてきて、素敵だなあ、と。

降矢:本当にどこにでもいそうな感じですよね。実際にデトロイトに住んでいる人たちをキャスティングしたみたいです。

樋口:マギーという一応主役といっていいのかな、ピアスをつけている女の子がいたじゃないですか。まあ主役がつけていい数のピアスじゃなかったですけど笑

小川:あのピアスは元からなんですかね?

樋口:そうなんですよ。オーディションのときからつけていたみたいです。

小川:良い! そういうのが良いですよね! やっぱり最初は完成を目指そうとしてしまって。普通のオーディションではこんな演技にはならないと思うんですよ。でも彼女はすごいナチュラルで、ピアスもこのままっていう感じが。

樋口:このままいこう!っていう監督のね。

降矢:監督に「あのピアスは監督の指示だったんですか?」って聞いたら「あれは会った時からつけていたんだけど、それを外して欲しいとも指示しなかったから、ピアスは僕の演出でもあるとも言えるね」って返事をいただきましたね。

小川:面白い。

樋口:そういう各々が持っている良さ、危うさっていうのが作品によく出ていますよね。この前お話を伺った三宅唱監督からも「現場はたぶんすごく仲良くやっている」というような話があったんですよね。そういう現場感っていうか、がっちり決められたというよりは若い子たちが集まって映画を作っている雰囲気がよく作品に表れているっていう。そういうことって役者目線で感じられたりしますか?

小川:理想ですね。今ある状況の中で無理なことを言わない監督。少し話は変わってしまうんですけど、この前鈴木卓爾さんのインタビューを読んでいて、「俳優は指示を出せばなんでも出来るものだと思っている人がいる」と言っていて。
面白いなって思ったのが、10年そこに住んでいる役だったとして、初めてそこの現場に行った人が「はい、じゃあ演じてください」って言われても無理なんですよね、やっぱり。そもそもスイッチがどこにあるかもわからないし。この映画を見て、画面や演技から現場の雰囲気などを感じ取ると、やっぱり良いなあって思いました。

降矢:準備期間はかなり長かったみたいですね。脚本とかは出来ていたんだけど、お金がなくてなかなか撮影することが出来なかったというようなこともあったりして。だからそういう関係性みたいなものを築く時間はたっぷりあったとは思うんですよね。
日本の映画制作環境というものが僕にはわからないのですが、本作のことを思うと、小規模・低予算の映画でもゆったりと時間を使って映画を作れる環境っていうのはアメリカ映画の豊かさかもしれないなあ、なんてことも思ったりします。

小川:ミッチェル監督が「映画が大好きだ」って言っていて、そういうことを素直に言えるのも、豊かさとか余裕があるっていうことの表れなんじゃないかと思ったりしました。切羽詰まっていない映画だなあ、と思って。そういうところもラフに見れるし、もっと見て欲しいなあって思いますよね笑

降矢:本当に! もっと見て欲しいとは我々常々思っているんですけれども!笑

小川:何回も見たい作品ですよね。

樋口:何回も、見たいんですよね!

小川:家に持っておきたい。

樋口:家に持っておきたい!

降矢:そうなんですよね!

小川:買いたい笑

樋口:ありがとうございます笑

降矢:なんでしょうか、これは笑

 

■ ティーンエイジャーたち/演じ手たち

樋口:例えば特にこのシーン・要素が好きだっていうのはありますか?

小川:怪談話をしているときに、男の子と女の子(クラウディア)が選ばれてるところが好きで。あの年でって言っても私もたぶん近しい年齢なんですけど、絶対男の子と二人っきりでいるとドキドキするんですよ。

樋口:ほう、なるほど。

降矢:良い話ですね。良い話のような気がしますよ。

樋口:良い話の予感がしますね。

小川:笑。で、そのあと「あんたサイテー」とか言われてて、でも絶対そういう風に言ってた子たちも二人っきりになったら、どうなの?って笑

樋口:お前らも絶対そうなるだろ、と。

小川:そうだと思うんですよね。

樋口:あの展開っていうのはもう避けられないっていうか。

小川:そう! そういうところも可愛らしいなあって。同時にかわいそうだなとも思うし。高校生のときとかそういうことって聞いたことがあるような気がして。そういう事件……。

降矢:ああ、小川さんの身の回りにっていうことですね。

小川:そう。他に彼氏がいるんだけど、二人きりになって、そういう感じなった笑っていうのも聞いたこともあるし。かわいそうだなあっていう気持ちも。

降矢:そういう意味では日本もアメリカも同じようなことですね。

樋口:あのヴィジャーボードの場面ですよね、コックリさん的なもの。実際自分の好きなように動かして……

降矢:映画に出てくるたびに毎回思いますよね。やったことがないのでわからないですけど笑 果たして本当に勝手に手は動くのかという。

小川:そしてその男の子もいわゆるイケメンっていう感じではなくて、それも素敵でよかった。

降矢:一応補足情報なんですが、双子の姉妹(アビー姉妹)は、映画作品には以前から出演していてプロの役者さん。あとお風呂場でカーテンをチャッと閉める友達のお姉さんもプロの役者さんのようです。そのほかの方は現場で見つけてきてっていう感じらしいです。

樋口:そう言われるとそうだなっていう感じはしますよね。

小川:でもそのプロの役者の三人のほうが芝居っぽいなって思いますよね笑 そういうところも象徴的な感じがして、この監督面白いなって思います。わざと、いかにも決めゼリフっていうような感じで役者さんに言わせたのかなって。

降矢:なるほど。

小川:あそこだけ切り取られたように凸凹していて、それは面白いなって思いましたね。

樋口:双子の姉妹とかでも、本当に素人でどっちかがすげぇ巧いとかって困りますもんね。

小川:笑

樋口:そういう意味では上手い具合いプロの子も置いて、そのメリハリもあるかもしれないですね。

 

■ 『アメリカン・スリープオーバー』のナチュラルさ

降矢:ちょっと話題は変わりますけれども、自転車のシーンとかのソワソワするような期待感、ああいう感情というのはどこか感じたことがあるのかもしれないな、っていう。誰しもが。
この映画をご覧になってくれた方の感想などで、人と話したくなる、共有したくなるっていうのが多いんですね。「自分はああだったけど、お前はどうだった?」みたいな。原題に“神話”とついていますけど、その誰もがどこかで感じたことがあるような感情が描かれているっていうのは非常にこの映画の魅力かな、と。

樋口:そうですね。

降矢:小川さんとしては、全然ないですか? 友達の家にお泊まり会にいったというようなこととかは?笑

小川:私ないんですよ。

樋口:あんまりね。日本だと。

降矢:まあでも友達の家に泊まるだけなら、なきにしも……。

小川:でもあんなに自由にはなれないんですよね。

樋口:ああ、人の家に卵ぶつけたり。

小川:笑。絶対警察に通報されますよね笑

樋口:日本には「もったいない」という言葉がありますからね。

会場:笑

樋口:ああいう遊びっていうのは、山崎まどかさんにうかがったときなどにトイレットペーパーを投げたり、卵をぶつけたりっていうのは本当にあるようで。
というのもアメリカの郊外、ここではデトロイトですけど、娯楽っていうのがそもそも少ない。今の日本と比べてもそうですし、アメリカの他の都市とも比べてもそうなんでしょうけども、そういう中で彼らは、街を彷徨ってああいう遊び方をする。でも今おっしゃっていただいたように、大胆というかそこまでするかっていう。

小川:繊細な映画っていうのは日本にも多くて、私もすごく好きで日本の映画の良いところだなあって思っているんですけど、アメリカは大胆さがうまく入っているな、思っていて、日本と比較してみると面白いですよね。「ああ、出来ないこんなこと!」って映画を見ながら思いました。

降矢:でも、いわゆるやんちゃをする青春映画というのはすごい多いと思うんですけど、そのやんちゃ度に比べるとリアリティはありますよね。身近さというか親しみみたいなものは感じる、というか。

樋口:そうですね。この映画はなにかを成し遂げているわけではないじゃないですか。朝が来たときに。でもそれって確かに僕らも気合入れて友達の家に泊まりにいくぞっていっても結局大したことも出来なかったりっていうのと似ているのかもしれない。

小川:無理矢理やろうとしていない映画だなって思いますよね。現場が楽しそうな雰囲気なんだろうなっていうこともすごいわかるし。そのまま撮って、そのまま映画が終わっているような。それがちょうど良いというか。色々選ぶものがあるなかで、そのチョイスがナチュラルであり、すごく良い。それって一番難しいことなんじゃないのかなって思うんですよね。そんなに手を加えずに、もとからあるものの中で、自分で選んですごい良いものを作るって、すごいですよね。

樋口:わかります。

降矢:何かを成したわけではないですけど、もしかしたら成せるかもしれない、という期待感というのは映画の中にありますよね。でもいわゆる多くの派手な映画、大きな映画っていうのは、本当になにかを成してしまうんだけれど、この映画はその一歩手前に止まっていて、何かを成せるかもしれないという淡い期待が、一種の希望みたいな形で定着している。その期待感そのものっていうのがある意味「神話」なのではないかな、なんて今日お話して思いました。

樋口:だから結局足りているんですよね、満足という面では。なにかすごいことにはなっていないけれども。見終わったら満足できる、みたいな。

降矢:だからさっき小川さんがおっしゃった、あるもので無理しないでっていうのは、もともとそれぞれに備わっている良さというのを引き出すだけ、それだけで良いのだっていう監督のチョイスがあったんだなっていう。

小川:なんか監督の姿が見たいですね。どんな服装してるのかな、とか。

降矢:実は顔写真がパンフレットに載っていますけど、普通の兄ちゃんって感じですよ笑 それこそどこにでもいそうな。

樋口:一番似ているのでいうと、あの双子の姉妹を追っかけていた兄ちゃん(スコット)笑

小川:あはははは笑

降矢:もしかしたらスコットに自分を投影しているかもしれないですね。

小川:ナイスキャスティングですね笑

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[商品仕様]
●Blu-ray+DVD 2枚組
●特製ブックレット(36P)
●スリーブケース仕様
●日本語字幕
※特製ブックレット収録内容
・建築家 鈴木了二と映画監督三宅唱による対談(アップリンク渋谷で行われたトークショーの採録)
・未知への郷愁ーー『アメリカン・スリープオーバー』の「新しさ」について(藤井仁子)
・私たちはスリープオーバーのさなかにいる(藤野可織)

[特典映像]
出演女優ラムジー姉妹のカンヌ映画祭でのインタビュー、
「アメリカン・スリープオーバー」制作後のミッチェル監督のインタビュー等
合計52分程度の特典映像

『アメリカン・スリープオーバー』(2010/96分)

原題:THE MYTH OF THE AMERICAN SLEEPOVER

監督・脚本:デヴィッド・ロバート・ミッチェル

撮影:ジェームズ・ラクストン

編集:ジュリオ・ペレス4世

音楽:カイル・ニューマスター

製作:アデル・ロマンスキー他

出演:クレア・スロマ、ジェイド・ラムジー、ニキタ・ラムジー、マーロン・モートン、エイミー・サイメツ、アマンダ・バウアー

2010年度カンヌ国際映画祭批評家週間ノミネート 2010年度サウス・バイ・ サウスウエスト国際映画祭 審査員特別賞 受賞

 

 


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Killer of Sheep

スラム街に暮らす黒人たちの暮らしを鮮やかに描き、望まれながらも長らく劇場公開されなかった、黒人監督チャールズ・バーネットによる幻の傑作。 1970年代中頃、ロサンゼルスにあるワッツ地区。黒人たちが住むそのスラム街で、スタンは妻と息子、娘の4人で暮らしている。スタンは羊などの屠処理の仕事をし、一家は裕福ではなくても、それほど貧しくはない生活を送っていた。しかし仕事に励むなかで、日に日にスタンの精神は暗く落ち込み、眠れない日を送るなかで妻への愛情を表すこともしなくなっていた。 子供たちが無邪気に遊びまわっている街は、一方で物騒な犯罪が起き、スタンの周りの知人友人にも小さなトラブルは絶えない。 そんななか、家の車が故障したため知人からエンジンを買おうと出掛けるスタン。しかしエンジンを手に入れたスタンは、その直後思わぬ事態に見舞われるのであった……。

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