Gucchi's Free School

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The Stolen Ranch

1890年代~, ウエスタン

監督:ウィリアム・ワイラー / 上映時間:56分

サイレント映画期のウィリアム・ワイラー監督による西部劇。

第1次大戦後、フランクは戦場で患った神経症を抱えながらも、戦場で一緒に過ごした親友のブリージィによって支えられ、帰国する。そんなブリージィとフランクは、フランクの死んだ叔父が持っていた牧場へ行く。その牧場は本来フランクに相続されるはずが、なぜかサムという管理者が、その牧場を実質的に所有していた。遺言状を偽造したサム達の陰謀によって、フランクから牧場が奪われようとしていたのであった。

詳しいあらすじ

「アメリカが家から遠かった時代ー1918年」という字幕から始まる。

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第1次大戦の戦場では、壮絶な戦闘が繰り広げられていた。ブリージィ・ハート(フレッド・ヒュームズ)と、神経症に悩むフランク・ウィルコックス(ラルフ・マッカラーフ)は、戦場の最前線にいた。
ブリージィとフランクは激しい戦闘の中、ほふく前進でなんとか塹壕に入る。空を見上げると激しい戦塵が舞う中で飛行機が飛んでいる。敵の塹壕からは機関銃の掃射が続く。飛行機からは爆弾が落とされる。そのような厳しい状況に発狂したフランクは、突如立ち上がり奇声を上げる。それをみたブリージィは咄嗟にフランクを塹壕に引き戻す。
それでも発狂が収まらないフランクをブリージィは力づくで失神させる。

字幕「戦争はブリージィとフランクの友情を強固にした。それがフランドル地方へやってきた、彼らの純粋な利益であった」

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二人は激しい戦場から戻ることができた。だが、フランクは未だ神経症を克服できない。汽車が通り過ぎる時にはフランクが驚かぬように、ブリージィは耳を塞いであげなければならなかった。彼らはウィルコックス牧場に行く途中だった。
牧場の掘っ立て小屋に向かう二人。小屋に着くと、置手紙があった。手紙はトム・マーストン(ハワード・トルーズデイル)からで、自分が出張から戻るまでくつろぐようにと書かれている。

フランクはブリージィに話しかける。

フランク「マーストンは明らかに僕たちが来ることを予期している。彼は君に話していた友人で、僕の叔父の遺産は僕が相続すべきだと考えてた人だよ。」
ブリージィ「お前の友達は、俺がうろうろ探しまわってる間にお前が隠れる凄い場所を見つけてくれたんだな。」

ブリージィは小屋の中に入る。立派な小屋に喜んでいる。
ブリージィがふと外へ目を向けると、ウサギがいるのを見える。捕まえようとするが、フランクがいるのを見て、先に小屋の中で休ませることにする。フランクが小屋の中で安静にするや否や、ブリージィはウサギを捕まえに飛び出して行く。

そしてウサギ狩りに成功した二人ブリージィは早速ウサギ肉でフランクと食事をとる。食べ終わり一息つく二人。ブリージィは今からウィルコックス牧場で仕事ができるか見るために、ブリージィは牧場へ出発した。そんなブリージィを見ながら、フランクはパイプを咥えながら「あんな男を神様が作ってくれたことを見いだせたのが、戦争の価値だったな」と呟く。

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ウィルコックス牧場では、牧童達が馬を扱っている最中である。
字幕「ウィルコックス牧場の管理者であるサム・ハーディ(ウィリアム・ベイリー)は今、彼自身のために農場の所有権を主張している」
そこへブリージィがやってくる。ブリージィは馬を扱う男達に「働かせてくれ」と話しかける。牧童達は笑いながら、ブリージィを呼び寄せる。サムはブリージィに「馬に乗れるのか?」と尋ねる。ブリージィは「喜んで乗り方を学ばせてもらうよ」と答える。

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サム「お前は鞍にすら乗れないんじゃないか?よし、この馬も人を乗せたことがない。だから互いに一から練習するがいい。」

ブリージィはサムに言われたように乗ることにした。するとある牧童が馬腹の下から「お前さんが両足で挟んでやれば、馬はお前さんを投げ出さないからな。」と忠告する。そうして馬に乗るブリージィだったが、突然馬が暴れ回り始める。サムはそれを見て笑っている。
そんなことも知らずに牧草をメアリー・ジェーン(ルイス・ローレイン)が運んでいる。そこへブリージィは飛び降り、メアリーが持っていた牧草は手から落ちてしまう。メアリーは邪魔をしたブリージィに怒る。倒れているブリージィは、怒るメアリーにもニコニコと笑いかける。メアリーはそんな彼を起こしてくれる。そこへサムが近づいてくる。

サム「ここで仕事をしたけりゃ、馬に乗れなきゃな・・・馬に乗って戦えないとな。」
ブリージィ「俺は最近まであんまり馬に乗ったことがないんだ。でも戦う役割はしてきたよ。向こうでな。」

サムは笑いながら「多分町にいる大食いは炊事当番兵を使うな」とブリージィを馬鹿にする。そこへ料理人の老人がやってきて、私にこの男を任せてもらえないだろうか、とサムに頼み込む。サムは悩み始める。ブリージィもさらに頼み込む。
サムはようやく折れて、雇うことに決める。

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雇われたブリージィはメアリーに案内され、牧場内の家に入る。台所に通されたブリージィはポケットに入れていた勲章を失くしたことに気づくが、料理人が拾ってくれていた。勲章に驚嘆する料理人。料理人はフランス語でブリージィを英雄だと誉め称えるが、ブリージィは謙遜する。ブリージィにメアリーは「あなたもフランス人なの?」と冗談を言う。料理人はそれでも褒め続けながら料理を作る。ブリージィは椅子に座り、コーヒーを淹れてくれるメアリーと見つめ合う。あまりにも見つめることに夢中になったブリージィは、メアリーが淹れてくれたコーヒーに塩を入れていることに気づいていない。

掘っ立て小屋の前には、絵を描いているジューン・マーストン(ニタ・カヴァリエ)がいる。ジューンは、自分の父の牧場への訪問という形で、最近やってきたばかりだ。そこへフランクが小屋からやってくる。ジューンを見つけたフランクは、ジューンに近づき絵を見ている。それに気づき驚くジューン。「どうして私を怖がらせたの!」と怒るジューン。フランクは「ごめんなさい。君があまりにいい絵を描いてたもんだから」と謝る。
ジューン「絵について何か知っているの?」
フランク「僕は絵を勉強していたんだよ・・・戦争以前はね・・・」
あまりに熱心に話すフランクにジューンは描くように勧める。筆をとりはじめるフランク。

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一方のブリージィは皿洗いの真っ最中である。外ではメアリーが、身なりがだらしない牧童にいやいや口説かれている。それに気づくブリージィ。ブリージィはわざと邪魔をする。それに怒った牧童はブリージィを殴り、喧嘩が始まる。そんなブリージィを応援するメアリー。相手を失神させて喧嘩に勝つブリージィ。喧嘩に勝ったブリージィの怪我の手当をするメアリー。料理人はそんな二人きりの状況に気をつかって、台所に入るのをやめる。

字幕「ジューン・マーストンはフランクの正体を探ろうとはしなかった。一方で、彼女の訪問のおかげで、フランクは炸裂する砲弾を忘れることができた。」

訪問してきたジューンにフランクは「素晴らしい。君やブリージィが僕を甘やかしてくれたおかげだ」と感謝する。
フランク「・・・でもブリージィはね、君がしてくれた以上に僕に優しくしてくれているんだ」
その言葉に憂鬱になるジューン。
ジューン「そのブリージィは世界で唯一、あなたの興味を引く人のように思えてくるわ・・・」
フランク「君もブリージィが僕に何をしてくれたのかを知れば、分かってくれるさ・・・」

時間が遡り、再び戦場が回想される。毒ガスが散布される戦場。フランクのガスマスクのパイプが破損し、毒ガスが入ってくる。そんなフランクを見て、ブリージィは自分のガスマスクを被せてくれたのだ。

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フランク「・・・何ヶ月も病院で、彼の簡易ベットは僕のベットの隣にあった。でも彼が良くなったことを神に感謝したいよ」
ジューン「ごめんなさい・・・私知らなかったの」
気を取り直してバスケットからナプキンを取り出し、食事を取ろうとする二人。
すると目の前を馬に乗った男が通り過ぎて行く。ジューンは彼に挨拶をする。彼が誰なのか、フランクが聞くと、ウィルコックス牧場から来た牧童の一人だとジューンが答える。
その牧童が突然地面に向け、拳銃を発砲する。発砲音に怯えるフランク。あまりに怯えて走り始め、その勢いで岩から転落してしまう。かけつける牧童とジューン。牧童が急ぎ助けを呼びに行く。

ウィルコックス牧場の台所ではブリージィがメアリーと仲良く芋の皮むきをしていた。すると台所の隣の居間でくつろぐサムのもとに、男がやってくる。男は、以前ウィルコックスの弁護士をしていたジェームズ・モートン。だが今は、サムがフランクの農場を奪い取るのを手伝っている。

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ジェームズ「フランクが生きていた!一ヶ月前に病院から退院していた・・・神経症をもったまま、だ!」
ジェームズはそう言うと、サムに手紙を差し出した。手紙には「ここに、フランク・ウィルコックス上等兵が神経症に苦しみながらも退院し、ハート氏に引き渡されることを証明する。」と書かれている。
それを読んだサムは考え始める。一方でブリージィは作業をしながら、その会話に聞き耳を立てている。不意に扉が開き、一瞬サムに知られてしまうかと思われたが、見事に切り抜ける。サムは「今の段階で、あの遺書を捨てるな。もしフランクが姿を現したら、我々は彼をどうにかしなきゃならん。その時に考えよう。」と述べる。
すると、先ほどの牧童が家に到着し、倒れたフランクの件がサムに伝えられる。それ事態を知ったブリージィはすぐさま馬に飛び乗り、小屋へ向かう。馬に乗れていなかったブリージィとは、打って変わった豹変ぶりに、牧童達は驚く。
その頃、家の中ではサムとジェームズが話を続けている。
サム「もしそいつがフランク・ウィルコックスなら、忙しくなるぞ!」

急ぎ駆けつけたブリージィは岩陰にいたジューンを見つけ、フランクを小屋まで運ぶ。小屋のベッドにフランクを寝かせ、一段落がつく。ドアを閉め、ジューンとブリージィが話し始める。
ジューン「じゃあ、あなたが彼に良くしてくれていた相棒なのね」
ブリージィ「俺はみんな以上のことはやっていないさ」
そんな話をしていると、ブリージィを追っかけてきたメアリーがやってくる。メアリーはとりあえず小屋の中を窓から探ろうとする。すると中にはブリージィと、見ず知らずの女性であるジューンが仲睦まじく話しているように見える。顔を強張らせるメアリー。すると、ジューンに向かって「君は素晴らしい」と肩に手を当てるブリージィの姿を目撃する。ブリージィに恋人がいるのだと勘違いしたメアリーは、その場を去って行く。

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ブリージィは「もし俺が、フランクがウィルコックス牧場を所有していると証明できたら、チャンスがあるのに。」とジューンに話し続ける。
ジューン「あなたも知っているように、私の父はサムに牧場を与えるという遺書が偽造以外の何物でもないと信じているわ」
ブリージィ「フランクもそう信じている。君と君のお父さんが助けてくれるなら・・・」

ウィルコックス牧場の居間では、サムとジェームズが話し合いを続けている。
サム「私は今夜牧場をマーストンに売却する・・・すぐに譲渡証書を作成するんだ」
そう言うと、ジェームズに書類の準備を請う。

台所ではメアリーが失恋したと勘違いして泣き続けている。そこへブリージィが帰ってくる。メアリーは泣くのを止め、笑顔で彼を迎えるが、ブリージィ自身は難しい顔をしたままだ。そんな彼を見てメアリーは再び泣き始めるが、慰められ気を取り直す。

居間では話し合いが続く。サムはある牧童に告げる。
「フランクをすぐに追い出すのは俺たち次第だ・・・彼はいま掘っ立て小屋にいる!」
それに気づくブリージィ。早速、牧童は他の仲間に「サムが取引を終えるまでには、フランクを牧場に近づけてはならん」と告げ、出発する。
そこへトム・マーストンとその妻がやってくる。トム・マーストンの野望は彼が所有する牧場とウィルコックス・レイジィ・Z牧場を共同経営することであった。
サム「マーストンさん、私はあなたの要求を受け入れて売ります。」
トム・マーストン「分かった。それじゃあ契約を交わした印に領収証をくれ」
トム・マーストンは領収証を受け取り、妻と帰って行く。
だがサムは、その遺言状の原本をライトの火で焼こうとする。
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急ぎブリージィは鍋を投げつけ、ライトを壊す。真っ暗になる室内。闇の中でブリージィとサム達が遺言書を奪い合い、乱闘を繰り広げる。その乱闘の中で、見事遺言書を手に入れ、牧場を離れるブリージィ。それに気づいたサムとジェームズがブリージィを追う。

一方、掘っ立て小屋に二人の牧童が迫る。それに気づき隠れるフランク。だがドアの後ろにいることがバレてしまう。牧童達はフランクの後遺症を知っていたため、銃声を聞かせて発狂させようとする。
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だが発砲音にフランクは見事耐え抜き、二人に飛びかかる。一人を失神させ、一人と乱闘を繰り広げる。だが牧童は銃を手にし、フランクを撃とうとする。
そこへ駆けつけたブリージィがフランクを救う。牧童達を倒すと、そこへサムとジェームズがやってくる。ブリージィは牧童を脅かし「さっさと入ってこい。俺たちが奴を縛っておいた!」とサムとジェームズに向かって言わせる。
するとサムとジェームズは小屋に入ろうとする。その間にブリージィはフランクに二頭の馬を準備させる。
サム達が入ろうとした所で、ブリージィは小屋の中へ押し込み、すぐに馬に飛び乗り牧場へ引き返す。一方のサム達も牧場へ引き返してくる。

牧場には保安官を引き連れたトムとジューンが入ってくるが、家の中は真っ暗だ。一方、台所にいるメアリーは誰かが侵入したと勘違いし慌てる。続けてブリージィとフランクも家の中に入るが、やはり室内は真っ暗だ。
そこへとうとうサム達が台所側と玄関側から一斉に入ってくる。銃を持ち、ブリージィとフランクを探して懐中電灯を照らす。そして照らされた先に二人の姿が。

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だが突如、隠れていた保安官が立ち上がり、サム達を捕まえる。
そこにはトムとジューンもいる。ジューンの姿を見たフランクはすぐに駆け寄り、喜び合う。トムは保安官に領収書を見せ、サムが盗んだ牧場を売ろうとしていたことを訴える。さらにブリージィはフランクが牧場主であることを示す父親の遺書を保安官に見せる。こうしてサム達は保安官に逮捕された。

喜び合うジューンとフランクに近寄るブリージィ。するとフランクは後遺症が治ったことを教える。喜ぶブリージィは叔父の遺書をフランクに渡す。
そしてブリージィはメアリーのことを思い出し、台所へ向かう。そこにはメアリーはいない。探し始めると、洗い場の下に大きな籠が置いてある。その中にメアリーは隠れていたのだ。
ブリージィはメアリーを見つけ出し、彼らもハッピーエンドを迎えるのだった。

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  • 監督:ウィリアム・ワイラー
  • 原作:ロバート・F・ヒル
  • 撮影:アル・ジョーンズ
  • 編集:レイ・カーティス
  • 音楽:デヴィット・ナッドソン
  • 製作:カール・レムリ
  • 製作会社:ユニヴァーサル
  • 配給:ユニヴァーサル
  • 製作年:1926年
  • 上映時間:56分
  • 出演:フレッド・ハーミズ、ルイス・ローレイン、ウィリアム・ベイリー、ラルフ・マッカラーフ、ニタ・カヴァリエ

COMMENT

サイレント期のウィリアム・ワイラー

ウィリアム・ワイラーというと、一般的には『ローマの休日』や『ベン・ハー』が一番有名だろう。また批評ではアンドレ・バザンが評価した『我等の生涯の最良の年』や『偽りの花園』などが有名だ。だが、いずれもワイラーのトーキー期に入ってからの作品であり、サイレント期の作品はあまり見られない。実はサイレント期にも、短編を含めると数十本の作品が、ワイラーによって撮られている。本作も日本で「戦友の為に」という邦題で当時劇場公開されている。
本作はトーキー期に入ってからのワイラーを考える上でも非常に重要な作品だ。後のワイラーに見られる重層的な画面構成による遠近感の創出というテーマは、本作では列車の通過を背景に丘に佇む二人のショットに見いだせる。一方で、暗闇の乱闘シーンや、絵具のパレットから皿へと至る円形のモンタージュは、ワイラーが当時新たな作風を目指し、実験を続けていたことの証となるであろう。


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