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劇場まわり飯vol.3

映画館の周りの美味しいお店を紹介する『劇場まわり飯』、vol.3です。

早速始めましょう。

今回取り上げる映画館は、新宿の東口と南口の間に位置する「シネマカリテ」。この劇場は、2012年末にオープンした新宿のなかでは新しい劇場で、vol.2で紹介した「新宿武蔵館」の姉妹館である。IMG_1604

オシャレなこちらの劇場名は、おフランスの言葉で、シネマ=映画、カリテ=品質ということらしく、すなわち高品質な映画体験を我々に提供することを約束してくれている(と思われる)素敵なネーミングなのだ。

飲食店が入るビルの地下にある劇場は、新宿駅の最寄りの地下出口から徒歩1分もかからない。スクリーンは2つで決して大きいとは言えない規模だが、シネコンでは扱わないラインナップも多く、曜日や時間帯によってはかなり混雑することもある人気の映画館だ。そしてこちらの劇場での最大の人気企画が、「オトカリテ」というイベント。これは、DVDスルー(劇場未公開・ソフトのみ発売)の作品を通常より安い鑑賞料で限定上映しようというもので、劇場公開されないままレンタルショップなどに並ぶ作品を、いっときでもスクリーンデビューさせてやろうという粋な企画である。映画好きにとっては面白い作品を大きなスクリーンで観ることができるチャンスだし、いい作品に巡り会えば「劇場公開されない作品=面白くない」というわけではないことがよくわかるだろう。1459653282(いつもは店の前に長蛇の列ができている。平日14時30あたりだと、運が良ければ並ばず入れるかもしれない)

そんなシネマカリテの近くにあるつけ麺店で今回紹介するのが、『つけ麺 五ノ神製作所』である。シネマカリテからは高島屋を目指して南に5分ほど歩いた場所にあり、正しく進めばやがてにょろにょろとした行列が見えてくるはずだ。そう、この店は新宿でも1,2位の行列を誇る、いわゆる超人気店なのである。

この店の特色は、ずばり「エビ」だ。ああエビ系ね、最近よくあるよねと思ったラーメン好きもいるかもしれないが、こちらのつけ麺のエビ度はちょっと他の店とは比べ物にならない。風味がするというレベルではなく、これでもかというくらいエビが濃縮された味がするのだ。例えるなら、おじさんが風呂に浸かっていたとして、その残り湯を飲んだらとんでもなく濃厚な味がするから問い詰めてみたら、赤い顔をして「ああ、あれはお湯じゃなくて全部おじさんから出た汁なんだよ」と明かされたような感じだ。ちょっと違うかもしれない。けれどパンチの違いはそれくらいだと思ってもらって構わない。IMG_1600

(写真は「味噌つけめん」。もちろん濃厚なエビの味がする。おすすめは「トマトつけめん」。この日は間違えた)

こちらの店では甘エビの殻や頭などをスープや油に使うことで、しっかりとした“エビ感”をつけだれに存在させているようだが、決してそのエビ度は行き過ぎたものではない。ただエビ度を強くしたければ質のいいエビを大量に投入することが近道になりそうだが、恐らくそれでは我々は満足できない。なぜなら我々はエビ汁を飲みたいのではなく、つけ麺を食べたいからだ。その点、この店はエビを柱としながらも、トマトとあわせてイタリアン風にしたり、味噌とあわせて和のテイストを醸し出したりと、つけ麺としての工夫に余念がなく、その成果はエビ好きならずとも何度も足を運びたくなる。もしあなたがただただエビが好きというだけならお伊勢参りなんかに行った方が御利益があるが、エビのつけ麺が好きならば、必食といって差し支えない一杯である。

ちなみに大久保駅にこちらの姉妹店である『らーめん 五ノ神製作所』というお店があるので、つけ麺よりラーメンが好きな方はこちらに行ってみるのもいい。それほど並ばず、こちらも濃厚なエビラーメンが食べられる。

 

ところで。先ほどから人気店だと紹介しているこちらの五ノ神製作所だが、グルメサイト『食べログ』では星がいくつなのか気になったひともいるのでは。

ずばり、2016年03月28日時点で、星3.67(口コミ:637件)である。よくこのサイトを利用するひとならわかると思うが、これはかなり高い点数と言っていいはず。しかしそんなひとは同時に、これほどの点数でも場合によっては期待外れなことがあることも経験済みかもしれない。ネットリテラシーが必須の現代では、店につけられた点数を信じるか信じないかはあなたのお腹の空き具合とか、レビュー数とか、立地とかまあ諸々の条件次第です、というのが暗黙の了解になってきている。1459655453
(食べログのHPに行くと評価の基準などが載っているので、一度確かめてみるのもいいかもしれない)

ちなみにこの星制度は、「星みっとぅです」の時代からグルメ界の市民権を得ているが、もうひとつ、別の業界でもこの制度基準が一般に馴染んでいる。そう、それは映画界である。

こちらもグルメサイトと同様普段から目にするひとが多いと思うが、現在までに封切られた映画の多くは、複数のウェブサイトで星制度のもとに点数がつけられている。恐らくこの点数を見て週末に観る映画を決めているひともあるだろうし、その結果激しく裏切られて、「あの映画サイト信用ならねえなあ」と毒づきながらも結局翌週観る作品の星もチェックしちゃうなんてひともいるだろう。

こちらも点数を信じるか信じないかは別として、実際映画界とグルメ界は同じような星の下でお客さんと対峙しているのが現代なのだ。

ちなみに製作者の方はどうかと言うと、映画界では一般の声として一応なんとなくは気にしているようだ。そして同じように料理人も店につけられたグルメサイトの星の数を少なからず気にしているに違いない。つまり、作り手と受け手がなんとなくでも意識している以上は、この星制度は広く世に機能していると言ってしまおう。

さてさて、グルメ界にはもうひとつ、大きな大きな星がある。というかこちらが本家だろうという声も聞こえてきそうな、かの「ミシュラン」である。tokyo_head

(ミシュランHPより)

ミシュランといえば、独自の調査のもと世界中の素晴らしいレストランにひとつ、ふたつ、みっつと星を与え続けてきたグルメ界の大先生なわけだが、実はこのミシュラン、東京のラーメン屋にも星をつけていることをご存知だろうか。

それが巣鴨のラーメン屋『Japanese Soba Noodles 蔦』で、ミシュランガイド東京2016に掲載され、ラーメン店として世界で初めて一つ星を獲得したのである。

ちなみに、ミシュランの星は、

1つ星:そのカテゴリーで特においしい料理

2つ星:遠回りしてでも訪れたい料理

3つ星:そのために旅行する価値のある卓越した料理

というのがその定義らしい。これを見ると、じゃあ1つ星は全てのカテゴリーのトップにじゃんじゃんつけなさいよとも思ってしまうが、しかし現実的には

『Japanese Soba Noodles 蔦』の快挙はラーメン界にとっては大きな一歩であることは間違いない。なお、星がついたのはこの店が初めてだが、ミシュランでは「ビブグルマン」という制度があり、ミシュランの従来の星の評価からは外れるものの、リーズナブルな価格帯(おもに5000円以下で楽しめる)で美味しい料理が食べられるレストランが評価対象になっている。そのビブグルマンには多数のラーメン屋が認定されているので、この先も星を獲得するラーメン屋は増えていくかもしれない。ビブグルマンのラーメン屋は、新宿からは高田馬場にある『らぁ麺 やまぐち』や幡ヶ谷にある『不如帰』が比較的近い。1459656707

(ミシュランHPでは、各年代のミシュランマンのデザインの変遷も見れる。右はデビュー当初で、ほとんど怪物)

ちなみにビブグルマンというのは上の画像にいる、ミシュランのマスコットの名前「ビバンダム」の愛称“ビブ”と、食いしん坊を意味するフランス語“グルマン”を合わせた造語である。「ビバンダム」は一般には「ミシュランマン」の名前で通っているが、こいつのことを「タイヤマン」だと思ってたやつは1つ星、「マシュマロマン」だと思ってたやつは2つ星、「チョココロネ」だと思ってたやつはそれぞれ3つ星バカに認定される。1459655907

(左が「ミスタータイヤマン」、中央が映画『ゴーストバスターズ』のマシュマロマン、右がチョココロネ)

ということで、今回は星の話を中心に『シネマカリテ』とその近くのお店『五ノ神製作所』を短めにご紹介しました。

次回は巨大シネコン『TOHOシネマズ新宿』の近くのラーメン屋と、昨今の料理人ドキュメント映画をご紹介します。
乞うご期待!

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Killer of Sheep

スラム街に暮らす黒人たちの暮らしを鮮やかに描き、望まれながらも長らく劇場公開されなかった、黒人監督チャールズ・バーネットによる幻の傑作。 1970年代中頃、ロサンゼルスにあるワッツ地区。黒人たちが住むそのスラム街で、スタンは妻と息子、娘の4人で暮らしている。スタンは羊などの屠処理の仕事をし、一家は裕福ではなくても、それほど貧しくはない生活を送っていた。しかし仕事に励むなかで、日に日にスタンの精神は暗く落ち込み、眠れない日を送るなかで妻への愛情を表すこともしなくなっていた。 子供たちが無邪気に遊びまわっている街は、一方で物騒な犯罪が起き、スタンの周りの知人友人にも小さなトラブルは絶えない。 そんななか、家の車が故障したため知人からエンジンを買おうと出掛けるスタン。しかしエンジンを手に入れたスタンは、その直後思わぬ事態に見舞われるのであった……。

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