映画『ライトハウス』に寄せて。
正方形の中の暗がりにはおおよそ2人の男しか出てこない。1人は醜い老人で、もう1人もどこか翳りのある若者だ。
この2人しかいないのなら、多分この内のどちらかに何か悪いことが起こるのだろう。
バディとして何かを成し遂げてハッピーエンド!とはいかなさそうだ。
悪いことが起こるのなら早く起きて欲しい。1時間50分もの間、こちらはそれをじっと待つことしかできない。海の景色や人の温かみを味わい感じる余裕などなく、ずっと緊張を強いられるのだ。何かとんでもないことが起きて欲しい、さっさと起きて欲しい、そんな風に思いながら鑑賞した。
海鳥は生かした方が幸せなのか、人魚には惑わされた方が幸せなのか、塔の上にいる方が幸せか、灯りを制す者が幸せか、本当に?
2人に起きて私が見ている悪夢は、どの段階で軌道を変えても同じ結末を迎えるしかない気がする。
それらの善悪や上下の関係、光の明暗などを絵の中に盛り込みデザインしました。
2回目の鑑賞の時はまったく逆さまの見方が出来るかもしれません。
※試写の機会をいただき、ファンアートを作成いたしました。
『ライトハウス』は2021年7月9日より全国ロードショーされます!
https://transformer.co.jp/m/thelighthouse/
佐川まりの(グラフィックデザイナー)
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