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『リアム16歳、はじめての学校』カイル・ライドアウト監督インタビュー

『リアム16歳、はじめての学校』のカイル・ライドアウト監督への字幕翻訳家としてご活躍中の上條葉月さんによるインタビューをお送りいたします!

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4月27日より公開の『リアム16歳、はじめての学校』のカイル・ライドアウト監督が来日し、インタビューをしました!

『リアム16歳、はじめての学校』は、学校に通わず母親クレア(ジュディ・グリア)から自宅教育を受けてきた16歳の少年リアム(ダニエル・ドエニー)が、義足の女の子に恋をして初めて学校に通い、様々な初めての経験をしていく青春コメディ映画です。

ライドアウト監督は『ウォークラフト』『デッドプール』などに出演するカナダ人俳優でもあり、長編監督作品としては本作が2本目。インタビューでは、本作のテーマとなっている家庭教育や親子の関係について、役者と監督という2つの仕事について、語ってくれました。

ーー本作は自宅教育を扱っていますが、実際に自宅教育を受けた知り合いなどからインスピレーションを得たそうですね。自宅教育は決まった型があるわけではなく、親によって全く方針が異なるものかと思いますが、何かそういった家庭特有の共通点などを感じることはありましたか?本作を作る上で参考になったエピソードなどがあれば教えてください。

カナダでも自宅教育はそんなに多くないよ。そういう自宅教育での、リアムとクレアみたいな、子供が親の文句を言わない親子関係を描いてみたら楽しいなと思ってこの映画を作った。この映画を作るに当たっては実際そういう家庭の話を取材したりしたよ。そのうちの一人の女の子から高校三年生で初めて学校に行ったんだけど、友達がいないから、お母さんがランチタイムに学校にきて、車の中で一緒にランチをしてたっていう話を聞いた。そういった話からインスピレーションを受け、参考にしたよ。実際に家庭で教育を受けた人たちの話を聞いて、現実に忠実に描くように心がけた。

ーークレアは過保護だけれど、口うるさい親というよりユーモアがあり、リアムとの友達のような関係はとてもチャーミングな母親にも思えました。クレアのキャラクターやクレアとリアムの関係には、監督自身の母親や、自分と子供との関係も反映されていますか?

もちろん、自分の過去は反映されていると思う。僕は3人兄弟がいて公立学校に通ってたから、そういう意味ではリアムと全然違うけど。僕も親になり子供がいるけれど、いつも子供を守りたいと思っていて過保護になってしまう部分もあるし、自分と母親との関係も参考にした。ただ、僕の母親はベッドに入ってきてアドバイスをしたり、コンドームをつける時間を計ったりなんてしなかったけど(笑)。学校でバドミントンをしたことや、職業適性テストなんかは実際に僕も経験したこと。それからこの映画でリアムがクレアから日本語を教わるシーンがあるけど、僕も日本語を学んでいたので、そういう部分は実際の自分のこれまでの人生が投影されているかな。

ーーご自身は転校が多かったそうですね。転校先に慣れるまでの経験なんかも、リアムの不慣れな学校生活でのエピソードに取り込んでいたりしますか?

そうだね、リアムにとってはこれが初めての学校だから僕の転校とはちょっと違うけれど、僕は転校して新しい友達を作るということを何度もやってきたから、そういう部分はリアムに投影されていると思う。

ーーリアムは天文学を志す少年ですね。宇宙のイメージやリアムの部屋の装飾などがとてもカラフルできれいで、天文学の設定がビジュアル面でも活かされているなと感じました。このアイデアはどういったところから出てきたのでしょうか?

僕自身、天文学が好きなんだ。スティーヴン・ホーキング博士の『ホーキング、宇宙を語る』も読んでいたし。だからリアムを宇宙物理学者を目指す男の子に設定したら面白いかなと考えた。彼は自分が好きな女の子、アナスタシアに宇宙の話をするんだけれど、彼女は「星座の話?」みたいな感じで全く理解できない。そこで二人の噛み合わなさがわかったりするのも、いいかなって。

ーーこれが2本目の長編監督作とのことですが、役者としての長いキャリアがありますよね。自分の役者としての経験は、監督する上で強みになっていると思いますか。それとも、監督業は役者としての自分とは別にやりたいことですか?

監督も役者もそれぞれ楽しいけれど、役者としての経験が監督する際に役立つことはあるね。俳優に演出をつけるときに彼らの気持ちがわかるから。監督によっては役者の演技を見てもいいとも悪いとも何も言わない人もいるけど、僕は役者の気持ちがわかるので、例えば「今のはよかったよ」という一言で彼らがほっとすることもわかる。勇気づけて、ベストな演技を引き出すことでうまくいっていると思う。

ーー反対に、監督を始めたことが役者としての自分の糧になっている面もありますか?

そうだね。監督の意図をつかみやすくなった。もちろん別々の仕事だし役割は違うけれど、重なる部分はあって、相互に役立っているよ。

ーーリアム役のダニエル・ドエニーはオーディションで選んだそうですね。彼を起用する上で決め手となったのはどういったことですか?

ダニエルを選んだ理由は、彼の小さな仕草などがリアムにピッタリだったから。前に彼とシェイクスピアの舞台で一緒に仕事をしたことがあったから、彼がいいやつで、うまが合うってことはわかってたんだ。それで実際にオーディションをしたら、彼は役に合ってる上、彼なりのアイデアを色々取り込んでくれた。他の人たちはそんなことはしなかったから、やっぱり彼がピッタリだと思ったよ。

ーー母親役のジュディ・グリアのような、大人のベテラン俳優たちとは違う指導や、演出する上でこころがけたことなどはありますか?

ダニエルもジュディもみんな違うからそれぞれに合わせて少しずつ演出は変えてるけど、彼の場合は、すごくいろんなことに挑戦してくれる人なんだ。例えば「ピンクの衣装を着てそこを跳んで!」といえばすぐ跳んでくれたり。なんでも挑戦してくれる人だったので、すごくやりやすかった。俳優によっては、「どうしてそんなことをするか」と聞いたり、抵抗をみせる人もいるけど、ダニエルはなんでもとりあえず挑戦してくれて、だから僕もそういう挑戦的な気持ちで演出できた。

ーー『JUNO/ジュノ』や『(500)日のサマー』『ナポレオン・ダイナマイト』といった作品をお手本にしたとのことですが、そういったポップなテイストのコメディ作品が特に好きなのでしょうか?

この作品が出た時に、『JUNO/ジュノ』や『(500)日のサマー』『ナポレオン・ダイナマイト』といった作品と比較されるだろうと思ったんだ。だから、むしろ今挙げたような作品と自分の作品の違う部分を明確にしたくて、意識していたかな。あとは、キャストや美術の人たちに「こんな感じに」というイメージを説明する時に『JUNO/ジュノ』を例に出した。あの作品みたいな、大げさなコメディではなくて、でも面白くって、というトーンにしたかった。だから俳優たちに「ああいうトーンでお願いします」ってことは伝えた。

ーーお気に入りのコメディ作品や監督などがあれば教えてください。

ニュージーランドのドライなユーモアのある作品が好きだね。フライト・オブ・ザ・コンコルズ(コメディグループ)や、作品なら『シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア』が好きだ。

 

『リアム16歳、はじめての学校』は4月27日(土)より、新宿シネマカリテ他、全国順次公開

監督・脚本:カイル・ライドアウト
出演:ジュディ・グリア、ダニエル・ドエニー、シオバーン・ウィリアムズ、アンドリュー・マックニー
2017/カナダ/英語/ビスタサイズ/5.1ch/86分/原題:Adventures in Public School
配給・宣伝:エスパース・サロウ
https://liam-hajimete.espace-sarou.com/

 


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Killer of Sheep

スラム街に暮らす黒人たちの暮らしを鮮やかに描き、望まれながらも長らく劇場公開されなかった、黒人監督チャールズ・バーネットによる幻の傑作。 1970年代中頃、ロサンゼルスにあるワッツ地区。黒人たちが住むそのスラム街で、スタンは妻と息子、娘の4人で暮らしている。スタンは羊などの屠処理の仕事をし、一家は裕福ではなくても、それほど貧しくはない生活を送っていた。しかし仕事に励むなかで、日に日にスタンの精神は暗く落ち込み、眠れない日を送るなかで妻への愛情を表すこともしなくなっていた。 子供たちが無邪気に遊びまわっている街は、一方で物騒な犯罪が起き、スタンの周りの知人友人にも小さなトラブルは絶えない。 そんななか、家の車が故障したため知人からエンジンを買おうと出掛けるスタン。しかしエンジンを手に入れたスタンは、その直後思わぬ事態に見舞われるのであった……。

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