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グッチーズ・クラシック部 Vol.1

クラシック部はじめます!

グッチーズ・フリースクールでは「グッチーズ・クラシック部」と題して、海外では傑作と語り継がれながらも、字幕付きでの上映が希少な作品をDVD化していきます。そのVol.1として、”ドキュメンタリー映画の父”ロバート・フラハティ監督『ルイジアナ物語』と、トリュフォーやゴダールにも敬愛されたフランス映画の巨匠ジャック・ベッケル監督『エストラパード街』を今年発売、2019年3年9日(土)なかのZERO視聴覚ホールにて上映します。また『エストラパード街』上映後には映画研究者の角井誠さんによるトークも予定しています。当日は会場にてDVDも特別価格で販売予定です!
DVDには特典として、『ルイジアナ物語』にはドキュメンタリー映画『息の跡』などの監督である小森はるかさん、『エストラパード街』には首都大学東京准教授の角井誠さんによる解説リーフレットがついています!(価格詳細は決まり次第、随時発表いたします)

上映スケジュールはこちら



≪『ルイジアナ物語』とは?≫
ドキュメンタリー映画の”父”とも呼ばれる映画監督ロバート・フラハティが1948年に制作し公開した映画。ルイジアナの広大な湿地に住む少年が油田掘削に魅せられていく様子を描いている。随所で川から顔をだす獰猛なワニ、少年と友達のようなアライグマ、そして闇夜にそびえたつ油田やぐらなどがリアルでありながら、どこかファンタジックに見える点が魅力的。また詩情豊かな映像美の一方で、少年vs.ワニの生死をかけた戦いや、油田掘削の迫力ある映像も必見! 油田掘削といえば近年では『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』『バーニング・オーシャン』などを思い起こさせるが、実は石油会社のPR映画にもかかわらず、当然のごとく本作でも大変なことになる。

本作はアカデミー賞原案賞にもノミネートされ、音楽を担当したヴァージル・トムソンは本作でピューリッツァー賞を受賞。1994年にはアメリカ国立フィルム登録簿にも選ばれている。キャストは全くの無名で、主人公の少年は、ルイジアナでオーディションをして見つけてきた。アメリカ映画だが英語だけでなく、主役であるケイジャンとよばれるフランス系住民が話すケイジャン・フランス語が聞ける点も貴重な作品だ。また撮影はのちに著名なドキュメンタリー監督になるリチャード・リーコックが担当している。


≪あらすじ≫
ルイジアナの広大な湿地に両親と住む少年アレクサンダー(ジョゼフ・ブドロー)。自然と野生動物に囲まれた彼の生活は、ある日、父親が油田掘削の許可書にサインしたことで大きく変わる。ほどなく始まった掘削作業に彼は魅了されていき、作業員との和やかな交流が生まれる。しかし突如トラブルにより掘削は中止の危機に陥ってしまう……。


≪ロバート・フラハティとは?≫
1884年2月16日 生まれ。イヌイットの一家を追った『極北のナヌーク』やイギリスのアラン島で暮らす人々を捉えた『アラン』などで有名なアメリカのドキュメンタリー映画監督。住民の生活を撮影するために現地で人々と一緒に暮らし、撮影したフィルムをその場で現像して、撮影対象の人々にも見せながら作品を制作していく手法をとっていて、フィクションである『ルイジアナ物語』でも、ルイジアナの地に住んで撮影を行った。ご興味のある方は、本作の脚本を担当し、ロバートの妻でもあるフランシス・フラハティが書いた『ある映画作家の旅』がおすすめ!


 

 


≪『エストラパード街』とは≫
『怪盗ルパン』や『穴』などで知られ、トリュフォーゴダールらにも尊敬されたフランス映画の巨匠ジャック・ベッケルによる恋愛映画。若い夫婦の揺れ動く心情をみずみずしく描き、ヌーヴェル・ヴァーグの輝きも予見させる。チャーミングなヴェルノンのファッションや、ふたりが住むパリのアパルトマンからさりげなく見えるエッフェル塔のおしゃれなこと! 映画批評家アンドレ・バザンも絶賛の傑作。

ベッケルの『エドワールとキャロリーヌ』にも出演したアンヌ・ヴェルノンダニエル・ジェラン、さらにハリウッドでも『恋の手ほどき』などで活躍したルイ・ジュルダンがヴェルノンの夫役として出演している。『忘れじの面影』、『ボヴァリー夫人』、『女海賊アン』などで常に女性を裏切ってきたジュルダンだけあって、本作でも彼の浮気が物語の発端となっている。


≪あらすじ≫
フランソワーズ(アンヌ・ヴェルノン)とカーレーサーのアンリ(ルイ・ジュールダン)は仲のいい夫婦。しかし、あるときアンリに不倫疑惑が。アンリは機転をきかせて一時は乗り切るも、友人の告げ口によりフランソワーズは家出を決意。エストラパード街にあるアパルトマンを夫に内緒で借りて別居生活を送ることに。すると、隣の部屋のロベール(アンリ・ジェラン)がフランソワーズに恋をしてしまう。一方、アンリは妻とヨリを戻そうと画策し、ついに妻の居場所を突き止めるのだが……。パリの下町を舞台に微笑ましい夫婦喧嘩から痛切な恋まですべてを描き切る、フランス恋愛コメディの決定版。


≪ジャック・ベッケルとは≫
1903年生まれのフランスの映画監督。ジャン・ルノワールの助監督を務めたあと、『最後の切り札』で監督デビュー。その後も『幸福の設計』や『七月のランデブー』、『エドワールとキャロリーヌ』など若い夫婦を描いたコメディや、『現金に手を出すな』や『怪盗ルパン』などサスペンス映画の傑作を次々に発表。ゴダールやトリュフォーらヌーヴェル・ヴァーグの監督となる若き批評家たちに愛されたが、60年に53歳の若さで死去した。遺作は脱獄ものの傑作『穴』。


『ルイジアナ物語』
監督/ロバート・フラハティ 脚本/フランシス・フラハティ、ロバート・フラハティ 撮影/リチャード・リーコック 音楽/ヴァージル・トムソン 出演/ジョゼフ・ブドロー、ライオネル・ルブラン、E・ビアンヴニュ、フランク・ハーディ、C・P・ゲドリー
1948/アメリカ/英語&ケイジャン・フランス語/78分 原題/Louisiana Story 日本語字幕:上條葉月

『エストラパード街』
監督/ジャック・ベッケル 脚本/アネット・ワドマン 撮影/マルセル・グリニョン 音楽/マルグリット・マノー、ジョルジュ=ヴァン・パリス 出演/アンヌ・ヴェルノン、ルイ・ジュルダン、ダニエル・ジェラン、ミシュリーヌ・ダックス、ジャン・セルヴェ、ジャック・モレル、パケレット
1953/フランス/フランス語/97分 原題/Rue de l’Estrapade 日本語字幕:井上牧子


これまでに届いたオススメのコメントです!
また「一緒に見るのにオススメ」な近年の作品を挙げていただきました。


『ルイジアナ物語』

小森はるか(映像作家)
主人公である少年の顔と同じくらい、もしくはそれ以上に、川の顔をみていたように感じた。人の顔を撮るときに経験するのと同じように、きっとある一瞬にしか現れない、誰も見たことのない川の表情というものがあるはずだ。カメラを通してでしか出会えないその瞬間が『ルイジアナ物語』には丹念に記録されている。

一緒に見るのにオススメ:『そっちゃないこっちゃ コミュニティ・ケアーへの道』(柳澤壽男)
【小森はるかさんには『ルイジアナ物語』DVDの特典リーフレットにご寄稿いただいています】
プロフィール:1989年静岡県生まれ。東京芸術大学大学院美術学部先端芸術表現科修了。映画美学校フィクションコース初等科修了。東日本大震災後、ボランティアで東北を訪れたことをきっかけに瀬尾夏美(画家・作家)とアートユニットとして活動開始。2012年、岩手県陸前高田に移住し、人の暮らしや語り、その佇まいを映像で記録している。2015年、仙台に移居。主な作品に「波のした、土のうえ」(2014年/瀬尾夏美と共同制作)、「息の跡」(2016年)、「空に聞く」(2018年)など。


井戸沼紀美(『肌蹴る光線ー新しい映画ー』主宰)
大きな歴史の波に揺られながら、小さな舟を漕ぐケイジャン人たちの微笑み。うつろいゆく水面のいきいきとした表情。水辺を離れて住処を紡ぐ蜘蛛の眩しさ。これらすべてが、石油会社をスポンサーにつけて撮影された映画の一部だということ。静かな炎を感じる。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(ジェームズ・ガン)
『ルイジアナ物語』の愛さずにいられないアライグマと、終始素晴らしい劇伴から連想……!


浅倉 奏(随筆/フォトグラファー)
水面が揺れ、ワニが、アライグマが、石油採掘のピストンが、父が、母が、そして少年が動くとき、カメラはただそのさまを見つめるだけなのに、すべてのアクションがポエジーへと転化する。絶対にスクリーンで観るべき1本。

『MUD -マッド-』(ジェフ・ニコルズ)
ストーリーもテイストもまったく異なるが、無情に変わりゆく世界と信じることをやめない少年の姿が、水面の揺らぎに投影されるという一点でこの二作品は接近する。その意味で、『ルイジアナ物語』が内包する特別な時間の流れは、現代のアメリカ映画にも脈々と受け継がれているのかもしれない。


藤井仁子(映画評論家)
少年とアライグマとワニとサギとが同じ資格で行きかう湿地帯。編集への依存がかえって捕獲者と獲物、自然と技術の対立を撹乱し、中心を欠く現実の多声性を浮きあがらせる。稀代のドキュメンタリストがたどりついた境地である。

『ワイルドツアー』(三宅唱)
一緒に見るならニコラス・レイの『エヴァグレイズを渡る風』に決まっているが、80年代以降で選べと注文主がうるさいのでジム・ジャームッシュの『ダウン・バイ・ロー』……も飛び越えて、いっそのこと最新の三宅唱監督『ワイルドツアー』ではどうか。歩きにくい場所をひたすら歩かされるこの現代日本の少年少女がワニであり、サギである。


『エストラパード街』

井戸沼紀美
どんな不遇な状況に立ち会おうとも、可能な限り品良く振る舞う主人公。優雅な彼女はもちろん終始魅力的だが、冒頭とラストの、エレガントの檻から放たれたような姿が記憶に残る。チャーミング極まるメイドのポミエさんからも目が離せない。

『ソニはご機嫌ななめ』(ホン・サンス)
酒と異性がいつも側にいて、そして何かにもがいている主人公2本立て。


浅倉 奏
部屋でのダンスはうまくいかないし、花束を渡そうにもレコードの音が邪魔をする──誰よりも完璧な映画作家ベッケルのロマンティック・コメディは、完璧な雨上がりの街灯に照らされた、ちっとも完璧じゃない人びとに寄り添うとびきりの魔法だった。

『マスター・オブ・ゼロ』『LOVE ラブ』
大きな物語でなく、小さなエピソードの集積と登場人物たちのまなざしによって心の機微をみずみずしく描き、舞台となる街が生き生きと映される──身につまされるほど可笑しくリアルであると同時にどこまでもロマンティックな「この感じ」は、最近だとNetflixの傑作ドラマ『マスター・オブ・ゼロ』や『LOVE ラブ』で感じられたそれだった。


藤井仁子
若夫婦の他愛もないもめごとの一瞬一瞬が努めて平静を装う二人の強がり、妻が新たに借りる集合住宅の不便な間取り、そして窓を通じたセットとロケの驚くべき接続により映画的な事件へと変貌する。使用人たちの豊かな個性にも注目。

『寝ても覚めても』(濱口竜介)
ならばこちらは濱口竜介の『寝ても覚めても』とともに見られるべきだろう。優れた映画にあってはまず心理があって次いでそれがアクションに翻訳されるのではなく、両者は常に不可分なまま不意撃ちとして「起こる」のだ。といいつつ注文に逆らって付けくわえれば、ジャック・ドゥミの『シェルブールの雨傘』をぜひこのタイミングで見なおしていただきたい。「アンヌ・ヴェルノン」と声に出して唱えながら。


隈元博樹(映画雑誌「NOBODY」編集部)
一時の別れとすれ違いを経験した男女に、ふたたび愛が訪れる物語。そんな映画は数知れずだが、『エストラパード街』とは愛に破れた敗者のフィルムでもある。そのことを引き出すべく演出の手捌きに触れたならば、ジャック・ベッケルという才能にふたたび圧倒されるはずだ。

『噂のモーガン夫妻』(マーク・ローレンス)
一度は破局の危機を迎えるものの、度重なるアクシデントに見舞われることで元の鞘に戻る恋人たち。そして彼らは、これまでに築き上げた関係性以上の何かを見ず知らずのうちに手に入れ、新たな恋の行方を予見させたところで物語の幕を降ろす。こうした「リマリッジ・コメディ」と呼ばれるジャンルに傾倒した作品は数知れずだが、『エストラパード街』にも通底する結婚喜劇を前提に、現代における結婚喜劇の可能性とそこからの跳躍を試みた1本のひとつとして、マーク・ローレンスの『噂のモーガン夫妻』がある。敏腕弁護士の夫ポール(ヒュー・グラント)と不動産業者の妻メリー(サラ・ジェシカ・パーカー)によるセレブ夫婦の異様な珍道中は、結婚喜劇の王道や夫婦間に訪れる普遍的なテーマを踏襲しつつも、けっして古臭さや苦みを感じさせることのない、実に軽やかな味わいを画面に漂わせている。

また、リマリッジ・コメディには、言わずもがな敗者の影が潜んでいるものだ。それは『エストラパード街』でフランソワーズとの恋に破れたロベールのように、『噂のモーガン夫妻』にはモーガン夫妻をとある理由で追いかける殺人犯の挫折がある。内なる目的を果たせなかった敗者たちの末路が、ふたりの関係性をより強固にしてしまうという残酷さ。つまりリマリッジ・コメディには、こうしたパラドキシカルな状況が提示されると同時に、主人公たちを取り巻く敗者たちの存在こそが、本来ジャンル映画が持つべきはずの豊かな奥行きが与えられていることを忘れてはならない。だから率直に言えば、問題はふたりが最終的にヨリを戻すことではない。そこへ行き着くまでのプロセスにあるということだ。そして、リマリッジ・コメディを観ることは、その神髄を自らに問い返すことでもある。


【イベント詳細】
日時:2019年3月9日(土)
会場:なかのZERO本館 視聴覚ホール100席 開場は開映の10分前
12:20『ルイジアナ物語』開映(78分)
(入れ替え&開場)
13:55『エスペラパード街』開映(97分)
15:40ごろ  角井誠さん(映画研究・批評)トーク開催
イベント終了は16:10ごろを予定しております。

【チケット】
当日会場にて11:30より販売致します。入れ替え制。
『ルイジアナ物語』800円
『エストラパード街』+トーク1,000円

【トークゲスト紹介】
角井誠(映画研究・批評)
1982年生まれ。首都大学東京准教授。専門はジャン・ルノワールを中心としたフランス映画研究。主な著書に『映画監督、北野 武。』(共著、フィルムアート社)。主な論文に「ルノワール・タッチ――『スワンプ・ウォーター』における俳優演出」(『映像学』91号)、「テクスト、情動、動物性――ジャン・ルノワールとルイ・ジュヴェの演技論をめぐって」 (『表象』7号)など。

上映会チラシはこちら!


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Killer of Sheep

スラム街に暮らす黒人たちの暮らしを鮮やかに描き、望まれながらも長らく劇場公開されなかった、黒人監督チャールズ・バーネットによる幻の傑作。 1970年代中頃、ロサンゼルスにあるワッツ地区。黒人たちが住むそのスラム街で、スタンは妻と息子、娘の4人で暮らしている。スタンは羊などの屠処理の仕事をし、一家は裕福ではなくても、それほど貧しくはない生活を送っていた。しかし仕事に励むなかで、日に日にスタンの精神は暗く落ち込み、眠れない日を送るなかで妻への愛情を表すこともしなくなっていた。 子供たちが無邪気に遊びまわっている街は、一方で物騒な犯罪が起き、スタンの周りの知人友人にも小さなトラブルは絶えない。 そんななか、家の車が故障したため知人からエンジンを買おうと出掛けるスタン。しかしエンジンを手に入れたスタンは、その直後思わぬ事態に見舞われるのであった……。

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