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For Me and My Gal

1930年代〜, ミュージカル, 恋愛

監督:バズビー・バークレー / 上映時間:104分

旅芸人であるジョーは公演先でハリーに出会う。彼女は彼を嫌っていたものの、『For me and My Gal』を一緒に歌い踊って彼と意気投合する。そして現在のコンビを解消して新たにハリーと組む。二人の夢はパレスシアターで公演をすることである。各地を転々としながら公演していくうちに、二人は恋に落ちる。あるとき、二人の元にパレスから出演依頼が届くが、それはよく似た名前の劇場で二人の勘違いだった。しかし、そこでの公演が注目されパレスから出演依頼がくる。しかしその直後、ハリーに第一次世界大戦の召集令状が届く。徴兵を逃れるため彼は手に怪我をわざと負う。その頃ジョーの元には弟の戦死が伝えられる。ハリーの徴兵逃れの計略を知ったジョーは彼と別れる。戦地での公演に向かったハリーは敵兵に遭遇。救急車を助けるなど武勲を挙げる。ニューヨークに戻ったハリーは憧れのパレスで歌うジョーと再会し、再びステージで一緒に歌う。

詳しいあらすじ

1916年、アメリカが第一次世界大戦に参戦する前年、アメリカの雪に覆われた田舎にジョーとジミーの旅芸人コンビは、ヴォードヴィル・ショーのため汽車でやって来る。同じ公演に出演する、ハリーも同じ汽車に乗っており、ジョーと駅で出会う。ジョーはハリーのナンパじみた態度に対し、皮肉を言ってあしらう。開演前の舞台裏、ハリーはジョーら女性が使っている楽屋を自分の楽屋として奪ってしまう。開演し、まずハリーは道化としてステージに上がり、笑いを取る。ハリーは舞台袖で次のジョーたちのショーを見る。喝采を浴びて袖に帰ってきたジョーは楽屋の一件もあり、ハリーにつれない態度で接する。ジョーが楽屋に帰ると、そこには弟で医学生のダニーが待っていた。ダニーは姉がショーで得たお金で学費を払ってもらっていることに後ろめたさを感じていて、退学したいとジョーに伝えるが、ジョーは、「医者になって返してくれる約束でしょ」と言い、ダニーは再び医者を目指すべく、大学に戻っていく。
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夜、弟を駅で見送った帰り、ジョーはハリーに遭う。ハリーはジョーのパフォーマンスを褒め、コンビを組もうと言うがジョーはつれない。そこで、ハリーは自分のレパートリーとして密かにジョーとジミーから奪い取った曲「For Me and My Gal」をジョーにあげると言う。二人はその楽譜をもってカフェに入り、芸人としての夢を語り合う。それはニューヨークのパレスで公演すること。それは芸人なら二人のみならずだれもが夢見る舞台なのだ。そして店主一人が見るなか、この曲を二人で歌い踊る。そして、その勢いで二人でショーの構成を話し合い始めた時、ジョーの顔が曇る。ジミーのことを思い出したのだ。
二人はホテルに戻り、ジョーはおやすみを言って階段を上がるが、ハリーが呼び止める。そして、本気で組みたいと思っていることを伝える。ジョーは「ありがとう」とだけ言って、部屋に戻るとジミーがいて、二人が踊るのを窓から見ていたことを告げ、自分も新しいことをしたいから、コンビを解消しようと切り出す。
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パルマー&ヘイデンとしてスタートを切ったジョーとハリーの二人だが、まだまだ夢のパレスには程遠い。同じころアメリカが第一次世界大戦に参戦する。戦時下のある日、夜行列車で移動中ハリーは誤って有名な歌手であるイヴの部屋に入ってしまう。イヴとハリーはその後、何度も会うようになり、ジョーは心配でならない。そしてジョーはハリーへの愛を、楽屋で再会したジミーに思わず打ち明ける。ショーで「After You’ve Gone」を歌い、そしてその日ハリーが訪れることになっていたイヴの家に行き、ハリーを愛していることをイヴに伝える。するとイヴは、ハリーの本心を確かめることを提案し、ジョーを物陰に隠す。そこにハリーがやって来て、イヴは「私と組まない?」と尋ねる。それはパレスでの公演を意味している。そしてハリーはジョーが聞いていることも知らず、その申し出を受けてしまう。
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ホテルでハリーのもとを去るための荷づくりをしているジョーの部屋に、ハリーがやってくる。そして「もし、夢がかなう提案が同時に誰かを傷つけることになるなら、どうすればいい?」とジョーに尋ねる。ジョーは「もし夢が何より大切なら、そちらをとるべきだわ。」と言って、さらにジミーから組まないかと誘われているという嘘をつく。ハリーは好都合とばかりに、提案を受けるよう勧めるが、ジョーは泣きだす。ハリーは慰めようとしてジョーを抱きしめ、そして思わずキスをする。ハリーはジョーが自分を愛していたことに気づき、同時に自分もジョーに恋してしまう。その直後、ニューヨークのパレス劇場からオファーの手紙を受け取る。二人は公演初日に結婚しようと約束を交わす。二人は意気揚々とパレスに向かうが、実はオファーはニューアークのパレス劇場からであることを知り、落胆する。FOR_ME_AND_MY_GAL - G__VIDEO_TS_20140410_120832.911
ジョーとハリーはジミー達とディナーを共にするが、そこにダニーがやって来る。軍に召集され、出発のあいさつをしに来たのだ。ダニーとジョーは夢のパレスでの再会を約束する。そしてジョーとハリーはニューアークで公演し、それが目にとまり、夢のニューヨークのパレス劇場から今度こそオファーを受ける。しかし、その直後ハリーにも召集令状が届く。何とか召集を回避しようと手だてをうつが、無駄に終わり、遂にハリーは身体検査で不適格になるよう、ジョーに内緒で手にわざと怪我を負う。ハリーの目論み通り不適格となり、ジョーにそれを伝えに行くが、ちょうどその直前にジョーはダニーの戦死を知らされていた。ハリーの策略を知ったジョーはもう二度と会わないと言い、ハリーのもとを去ってしまう。ハリーはジョーを取り戻すべく、身体検査を受け続けるが、手はもはや完治しない状態であることを知らされる。ハリーは、ジミーの相棒でYMCAの活動で戦争公債を売るためのショーをしているシドに出会う。シドにYMCAとして一緒にヨーロッパに行かないかと誘われる。パリのホテルでは、ジョーが同じくYMCAの慰問活動として、ショーを行っていた。そこでジョーはジミーと再会し、そしてジミーは偶然ホテルにいたハリーにも会い、ハリーを勇気づける。そしてジョーとハリーは再会し、「あなたは臆病ものじゃないわ」とジョーはハリーに言う。しかし、再び離れ離れになってしまい、二人とも各地で慰問活動を行う。
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ある日、ハリーがショーのために戦地近くのバーに向かうと、多数のけが人が救急車を待っていた。しかし、砲撃のなかで救急車が危険な状況にあることを知ったハリーは、一人車に乗り込み救急車を助けに向かう。砲撃の中車を走らせ、遂にはドイツ兵と遭遇。手榴弾を投げてドイツ兵を倒す。戦争は終結し、ニューヨークのパレスでジョーはショーを行う。そして観客席にはジミーとハリーが。ハリーに気付いたジョーは駆け寄り、一緒に「For Me and My Gal」 を歌い、ステージ上で涙をながして抱擁する。

  • 監督:バズビー・バークレー
  • 脚本:リチャード・シャーマン フレッド・フィンクルホフ シド・シルヴァース
  • 原作:ハワード・エメット・ロジャース
  • 撮影:ウィリアム・H・ダニエルズ
  • 美術:セドリック・ギボンズ
  • 舞台装置:エドウィン・B・ウィリス
  • 音楽:ロジャー・イーデンス ジョージ・ストール
  • 製作:アーサー・フリード
  • 製作会社:MGM
  • 製作年:1942年
  • 上映時間:104分
  • 出演:ジュディ・ガーランド、ジーン・ケリー、ジョージ・マーフィー、リチャード・クワイン、マルタ・エゲルト、キーナン・ウィン、ルシル・ノーマン、ベン・ブルー

COMMENT

芸人同士の友情に泣かされる、芸人という人々への愛に満ち満ちた作品

ジュディー・ガーランドとジーン・ケリー主演のFor Me and My Galの監督はバズビー・バークレー。大がかりな装置や奇想天外な幾何学模様の振り付けで初期の30年代ミュージカル映画を代表する振付師であ る。マスゲームにも似た模様を主に大勢の女性が作り出し、それをロングショットで撮るのでもはや女性の個性など分からない。後にファシズムとも批判されもしたこの振り付けを思い浮かべれば、この超大物といえる主演俳優二人がマスゲームの中に埋もれてしまうのかと思ってしまう。しかし、この作品はその意味で全くバークレーのミュージカ ルらしくなく、むしろ脇役まですべての登場人物への深い理解と愛情を感じさせる映画となっている。特にガーランドがケリーと組むために解散した元パートナー(ジョージ・マーフィー)の微妙な心情と優しさ、また、 姉を思って大学を辞めようとするガーランドの弟(後の映画監督リチャード・クワイン)の峻巡と決意、そして出征の場面における姉弟愛は、決して長くない上映時間の中でさらりと、しかし圧倒的な説得力で描かれている。
当時ブロードウェイで活躍していたジーン・ケリーは映画初出演。後の代表作『踊る大紐育』や『いつも上天気』など、ケリーには水兵や兵隊さんといったイメージがあるが、本作でも映画初出演作にして1942年製作とい うこともあり、やはり従軍することになっているし、今から見れば驚くべきことにケリーが手榴弾を投げつけドイツ兵を殺すという場面まである。ショーでの成功と武勲は本作では同じ価値を持っているのだ。また、ケリ ーはジュディー・ガーランドとは後も『踊る海賊』や『サマー・ストック』などで共演している。
ところで、ガーランドがケリーと組むために今のパートナーとの解散を決める素晴らしい場面は、後の『スター誕生』で女優になるために彼女がコーラスガールのチームを辞めるとマネージャーの男に告げ る同じような場面を彷彿とさせる。ジュディー・ガーランドのそばには心優しく寛容な仕事仲間が集まってくるようだ。どちらの男も解散後もガーランドを友人として支えようとするのだ。ヴォードヴィル芸人に捧げられた 本作はショーやガーランドとケリーの恋愛話や戦争といったものも描かれているが、なにより芸人同士の友情に泣かされる、芸人という人々への愛に満ち満ちた作品なのだ。

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Killer of Sheep

スラム街に暮らす黒人たちの暮らしを鮮やかに描き、望まれながらも長らく劇場公開されなかった、黒人監督チャールズ・バーネットによる幻の傑作。 1970年代中頃、ロサンゼルスにあるワッツ地区。黒人たちが住むそのスラム街で、スタンは妻と息子、娘の4人で暮らしている。スタンは羊などの屠処理の仕事をし、一家は裕福ではなくても、それほど貧しくはない生活を送っていた。しかし仕事に励むなかで、日に日にスタンの精神は暗く落ち込み、眠れない日を送るなかで妻への愛情を表すこともしなくなっていた。 子供たちが無邪気に遊びまわっている街は、一方で物騒な犯罪が起き、スタンの周りの知人友人にも小さなトラブルは絶えない。 そんななか、家の車が故障したため知人からエンジンを買おうと出掛けるスタン。しかしエンジンを手に入れたスタンは、その直後思わぬ事態に見舞われるのであった……。

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